ダイナック

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INTERVIEW先輩インタビュー

心を伴ったホスピタリティが最高の顧客体験を生む
──スタッフがもっとも輝ける環境づくりに尽力したい

先輩インタビュー_秋山さん

代表取締役社長秋山さん



PROLOGUE
「とりあえずビール」から「とりあえずハイボール」へ。

ウイスキー低迷の時代にゼロイチから角ハイボールブームを仕掛け、酒場の文化そのものを変えた立役者。ダイナックの社長就任後も、新業態の開発や既存業態の再構築に挑み、人材育成にも大胆なアプローチを仕掛けている。

角ハイボール誕生の裏側、ゼロイチで生み出すマーケティング戦略、そして今もっとも力を注ぐ「働く環境の変革」について、秋山社長に話を聞いた。
HISTORY
1994年サントリー株式会社に入社 営業職を経験
2000年同社 市場開発本部に異動 
全国チェーン店を開拓
2001年グルメ開発部へ異動 
業態開発やメニュー開発をメインに経営支援
2021年ダイナックレストランカンパニー 社長に就任
2024年株式会社ダイナック 代表取締役社長に就任
現在に至る


──まずは、サントリー時代のお話からお聞きしたいです。
サントリーではどのようなキャリアを積まれましたか?

お酒が場を和ませ、会話が弾む──そんな瞬間ってありますよね。学生時代から、そういう空気が好きで、居酒屋やクラブに毎週のように通っていました。まあ、正直なところ、遊びまくっていましたね(笑)。

でも、ただの遊びでは終わらなかったんです。次第に「お客として楽しむだけじゃなく、自分でこんな空間を作ってみたい」という気持ちが芽生えはじめました。その想いが決め手となり、外食事業も手がけているサントリーに入社しました。

最初の10年間は営業職を経験し、飲食店の現場と徹底的に向き合いました。そして、2001年、念願だったグルメ開発部へ異動。そこから約20年にわたり、メニューや業態の企画・開発に携わることになります。

その中でも象徴的なプロジェクトのひとつが、「角ハイボール」のプロモーションでした。


── 一世を風靡した「角ハイボール」の誕生秘話について知りたいです!

ウイスキーの売上が20年もの間、低迷を続けていた時代。どうすれば、もう一度ウイスキーを楽しんでもらえるのか。その価値を取り戻すために「ウイスキー復権プロジェクト」を立ち上げました。とはいえ、プロジェクトといっても華々しいものではなく、予算はほとんどなし。ごくわずかなメンバーで水面下からじわじわと仕掛ける、スモールスタートでしたね。

そんな中、私はほぼ毎日街を歩き、現場の空気を肌で感じるようにしていました。そこで気づいたのが、世の中の「カッコよさ」の価値観が変わりつつあるということ。

おしゃれなダイニングバーに集まっていたインフルエンサーや若者たちが、いつの間にか下町の立ち呑みや大衆酒場のような業態に足を運ぶようになっていたのです。ともすれば見逃してしまうような、点のような小さな動きでした。

そこでは、昔ながらのサワーやハイボールが並び、若い世代にとっては「新鮮でエモい」存在に。年配の方には懐かしさがあり、世代を超えて共鳴していることがわかりました。この流れを見て、「角瓶」のボトルをあらためて手に取ったとき、ピンときたんです。

「角瓶×炭酸——これを“古くて新しい”価値として打ち出せば、世代を超えて愛されるのではないか」

さらにこだわったのが、つくる瞬間の見栄えです。「人の手でレバーを倒し、一杯ずつ丁寧に仕上げる」光景は、ただのドリンクではなく、特別な体験になる。そのために開発したのが「ハイボールタワー」でした。

さらに、飲みやすさを追求し、割材には強炭酸を採用。ウイスキーと炭酸の比率も従来の1対2から1対4へと大胆に変更しました。そこにレモンの風味を加え、すっきりとした味わいに仕上げたのです。

こうして生まれ変わった角ハイボールは、従来の世界観やイメージを一新。見た目のインパクト、強炭酸の刺激、そのすべてが話題を呼び、2009年には「角ハイボールブーム」が巻き起こりました。

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──当時のマーケティング戦略について教えてください。

昭和の時代、人々は「みんなと同じもの」を求め、企業はテレビCMを中心としたマス広告で消費者の心をつかもうとしていました。しかし、時代は変わり始めていました。消費者の価値観は多様化し、「人と違うもの」「ニッチなもの」に惹かれる流れが生まれていたんです。完璧で洗練されたものより、不完全なものに魅力を感じ、それを応援したくなる。そんなムードが広がっていました。

この変化を前に、従来のマス戦略では限界があると感じていました。では、どうやって角ハイボールを広めるか?そこで考えたのが、今でいう「バズらせる」ことでした。

当時はインスタやFacebookもなく、SNSで拡散される仕組みがなかった時代。だからこそ、口コミが自然に広がる環境をどう作るかが重要でした。そこで、私たちが取引先としてターゲットにしたのは、大手チェーンではなく、地域で強い影響力を持つ飲食店や老舗。

「一緒にウイスキー復権に取り組んでほしい」

そう熱意を伝えるため、全国を飛び回り、オーナーたちを口説き落としました。あの年は、1年間で120回以上飛行機に乗っていましたね。本当に“地ならし”に全神経を注ぎました。どんなにいい種をまいても、土壌が整っていなければ、芽は育たない。だからこそ、まずは「角ハイボールを流行らせる土台」をつくることに集中したのです。

その結果、少しずつ変化が現れました。ガラケー時代にもかかわらず、ハイボールタワーやジョッキの写真を撮る人が増え、Googleの画像検索で「ハイボール」の件数を毎朝チェックするのが日課になりました。そして、ある時から急激に検索数が伸び、大手メディアにも取り上げられるようになり、ついにハイボールブームが本格化したのです。

社長賞をいただいたことはもちろん嬉しかったですが、それ以上に、社内外でこのマーケティング戦略が評価され、自分たちの挑戦が認められたこと。それが、何より大きな収穫でした。

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──アイデアを生み出すコツってあるんですか?

ヒット商品を生み出すのは、1を10にすることではありません。ゼロをイチにすること。 そのために、私は常に「消費者のインサイト」を探ることを大切にしています。

インサイトとは、「なぜその商品を欲しがるのか?」という、消費者自身も気づいていない潜在的な欲求のこと。ただ表面的な流行を追うのではなく、「本当の動機は何か?」を読み解くことが、新しい価値を生み出すカギになります。

「こうあるべき」と固定観念で考えてしまうと、新しい発想は生まれません。しかし、インサイトを見抜き、徹底的に分析することで、既成概念を覆し、新しい視点を得ることができます。

目に見えるものを見るだけでは遅い。 大切なのは、消費者の行動の裏にある心理を読み解き、仮説を立て、検証を重ねること。その過程でどれだけ「押し問答」ができるかが、アイデアの質を決めるのです。

時代の変化を読み、共感の波をつくる──これこそが、角ハイボールが生まれた背景であり、ゼロからイチを生み出すマーケティングの本質だと思っています。

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──2021年9月、ダイナックの社長に抜擢されたときの率直な感想をお聞かせください。

ダイナックはもともとサントリーのグループ企業で、私がグルメ開発部にいた頃、企画・開発した店舗をダイナックが運営することもありました。その分、内情も理解していましたし、会社に対する思い入れも強かったですね。

そんななかで迎えたコロナ禍。外食業界が大きな変革を迫られるなか、サントリーで培ってきた業態開発のノウハウと消費者目線のマーケティング力を生かせると考えました。

とくにダイナックのビジネスモデルを変革することが、私に課せられた最大のミッション。今、一番力を注いでいる部分です。

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──ダイナックの強みは何だと思われますか?

ダイナックの最大の強みは「人」です。一見すると居酒屋チェーンのように思われがちですが、実際には「調理経験者」ではなく、本物の「調理人」がいます。仕込みから商品開発まで手がける職人たちが、店舗を支えています。

ホール部門にも40人以上のソムリエが在籍し、専門性の高いサービスを提供できる。こうした調理とサービス、それぞれの領域にスペシャリストが揃っていることが、ダイナックの大きな強みです。

この人材力があるからこそ、企業からの信頼も厚く、運営受託の幅も広がっているのだと実感しています。

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──現在、もっとも力を入れている取り組みを教えてください。

就任からの2年間は、事業の変革に取り組んできました。これまでダイナックは大型店舗が多く、宴会集客をウェブ販促で強化する戦略をとっていました。しかし、いま軸に据えているのは、「最高の顧客体験」の提供です。

単に「いい商品を出す」だけでなく、サービスや空間を含めた体験そのものを価値にし、お客さまが「本当に楽しかった」と心から感じる店を目指しています。値引きではなく、商品・サービス・環境の価値で選ばれる店へ。その体験が口コミとなり、人から人へ広がるようなブランドへ転換を図っています。

この方向性を実現するには、人材育成が不可欠です。とくに接客において、おもてなしはマニュアルだけでは習得できません。心を伴ったホスピタリティは、気遣いや主体性から自然に生まれるものだからです。

だからこそ今、一番注力しているのは、スタッフ一人ひとりがやりがいや誇りを持って働ける環境づくり。働く側が楽しくなければ、お客さまに伝わるものも半減してしまいます。スタッフ自身が心から楽しいと思える職場環境こそが、真のホスピタリティを生む。その土壌を整えることが、今の最大の取り組みです。

──スタッフがやりがいを感じるために、どんな取り組みをされていますか?

人事制度や労務環境の整備ももちろん重要ですが、スタッフが本当の意味でやりがいを感じるために、もっとも大切なのは「コミュニケーション」だと考えています。

スタッフ同士、店長とパートナー、そしてパートナーと会社。そのすべてのつながりが活性化してこそ、働く楽しさや充実感が生まれる。だからこそ、私たちは「挨拶」「感謝」「傾聴」をコミュニケーションの三原則として大切にしています。

さらに、スマホアプリを活用し、会社の方針や私からのメッセージをスタッフ全員に直接届ける仕組みを構築。店舗においてもLINEグループでコミュニケーションが取れる仕組みを作っています。また、多言語対応の研修動画も用意し、グローバルな仲間ともスムーズに情報を共有。

すべてのスタッフがつながり、学び、成長できる環境を整えることで、一人ひとりが誇りを持って働ける職場をつくっています。


──今後のビジョンについて教えてください。

ダイナックは、これまでオフィス街でサラリーマンをターゲットにした事業で成功を収めてきましたが、今後はその枠を超えて、新しい挑戦をしていきたいと考えています。とくに若年層へのアプローチを強化し、店作りにも新しい風を取り入れていきます。お酒を提供する店舗にとどまらず、カフェやレストランなど、多様な業態に進出する予定です。

さらに、新業態開発やレストラン運営の経験を生かして、コンサルティング事業にも進出し、新たな収益源に育てるとともに、従業員の社内キャリアの選択肢を増やしていきたいと思います。

将来的には総合的なライフスタイル企業へと成長していくことを目指しています。規模を大きくするのではなく、業態やサービスの基盤を丁寧に作り上げ、「ダイナック」というブランドを世の中に広めていきたいと思っています。


──最後に、就活生の皆さんへエールをお願いします!

「人が好き」「外食が好き」──そんなあなたに、ぜひ仲間になってほしい。

「人が好き」と一言で言っても、いろんな形があります。お客さまと会話するのが得意な人もいれば、仲間の成長を支えることにやりがいを感じる人もいる。その中でも、私たちが求めているのは後者。スタッフ一人ひとりに寄り添い、成長を後押しできる人です。そういう人は、結果的にお客さまにも細やかな気配りができるから。

人を育てることは、テクニックではなく「愛情」だと思っています。相手に興味を持ち、気持ちを察し、変化に気づきながら支えていく。その積み重ねが、仲間やチーム全体の成長につながるんです。

外食業界は、「人が楽しんでいるときに働く仕事」と思われがちですが、実際は違います。お客さまが笑顔になる瞬間を一緒に味わい、自分の仕事が誰かの特別な時間をつくる。そんな喜びがあるんです。ただの「仕事」ではなく、自分の「好き」が活かせるフィールド。だからこそ、ワクワクする気持ちを持って飛び込んできてほしいですね。

ダイナックでは、仕事を通じて多くの経験を積み、自分の可能性を広げていくことができます。独立して自分の店を持ちたい、起業して新しいビジネスを立ち上げたい──そんな夢を実現した先輩たちが、数多くいます。さらに、マーケティングやビジネススキルを磨き、外食業界にとどまらず、さまざまな分野で活躍する道も開かれています。ここで得られるチャンスは無限大です。

「これだ!」と思える道がまだ見つかっていない人も、心配はいりません。外食業界を入り口に、自分の可能性をどんどん広げていける環境がここにはあります。「人が好き」「飲食が好き」「飲食を通じて人を笑顔にしたい」そんな想いを持つ皆さんと、一緒に働ける日を楽しみにしています!

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