INTERVIEW先輩インタビュー |
目指すは最年少調理長 |
2020年入社 |
PROLOGUE「心が折れそうになったことは?」という問いかけに、「ない」と躊躇なく答える小野さん。料理を続ける理由は「誰かに喜んでほしいから」と、シンプルで力強い。今、彼の視線の先にあるのは、最年少調理長への道。 副調理長として、新たなフェーズを迎えた小野さんが、日々どんなことを考えて仕事に向き合っているのか、率直に聞いてみた。 | HISTORY
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──そもそも調理の道を選んだ理由を教えてください。子どもの頃から料理をするのが好きで、家でもよく手伝っていました。得意料理はオムライス。母に教わって作ったら家族に褒めてもらえたこと、今でも鮮明に覚えていますね。学生時代、教室を見渡したときに「ここにいるみんなに勝てるものって何だろう?」と考えたことがありました。勉強はあまり得意ではなく、スポーツはそこそこやってたんですけど、ただそれでも自分より上の人間はいて。そんな中で「好きな料理だったら誰にも負けない」と思えたのが、料理人を志す最初のきっかけでした。 高校卒業後は調理専門学校に進み、さらに技術を磨きました。 |
──なぜダイナックだったのか、入社の決め手は何ですか?専門学校を卒業後、最初は別の会社に就職し、1年間働きました。そこでは高級業態からカジュアルな業態まであったのですが、自分がやりたいことと実際の業務とのギャップを感じていました。僕は、現場でバリバリ料理を作り、営業を回すような仕事がしたかった。でも、当時の環境ではそれが叶わないと感じ、思い切って転職を決意しました。 ダイナックは多彩な業態があり、自分に合った働き方を見つけられると思ったことが大きな理由です。また、サントリーグループの一員であるという安心感も、決め手の一つになりました。 ![]() |
──現在の仕事内容とミッションを教えてください。現在は店舗の営業運営や発注業務を担当しています。調理長としての業務を学びながら、実務をこなすことがミッションです。僕らは、お金をいただいて料理を提供している以上、中途半端なものを出すのはお客さまに対して失礼。だからこそ美味しさはもちろん、見た目の美しさや丁寧な仕事を徹底することを大切にしています。 料理を丁寧に仕上げることで、自分のモチベーションも上がるし、後輩にもその姿勢を伝えていける。そうやって、職場全体に良い文化が根付いていくことが、結果としてお店の成長にもつながると思っています。
──小野さんが思う「丁寧な仕事」とは?例えば、お肉一つ取っても、納品されたものをそのまま提供するのではなく、食べられない部分を取り除き、しっかりと仕込みをする。そうした細やかな手間を惜しまないことで、美味しさを引き出しながら、過剰なロスを防ぎ、売上にもつなげていく。見た目だけでなく見えない部分にこそ、丁寧な仕事が求められると思っています。また、これはお客さまだけでなく、後輩にも伝えていきたいこと。僕自身もまだ成長の途中ですが、こうした姿勢が会社の風土として根付いていくのが理想ですし、それができる環境を作ることも、自分の役割の一つだと考えています。 ──やはり後輩の育成も大切な仕事なんですよね。そうですね。今年の会社全体の目標にもなっているので、人材育成はとくに意識しています。うちの店舗は社員が基本2人。調理長と2番手の社員という体制なので、僕の立場だと、直属の部下はアルバイトの子たちになります。彼らがメインとなって現場を支えている以上、一人ひとりのスキルをしっかり把握し、無理のない形で仕事を教えることが大切だと思っています。 人には得意・不得意があるので、苦手な部分を克服させるのか、得意な部分を伸ばすのか、ひとりひとりとその場の状況を見て判断しています。お店がスムーズに回ることを最優先に考え、今のメンバーにとって何がベストかを見極めるようにしています。 例えば、あるポジションを任せる人が休んだときに、他の誰も対応できない状況は避けなければなりません。だからこそ、不得意でも経験させることが必要な場面もある。ただやらせるだけではなく、その中で少しでも「楽しい」と思える部分を見つけてもらうことが、僕の役割なのかなと。今は、そうした意識を持って後輩の指導にあたっています。 ![]() |
──どんなときにやりがいを感じますか?僕にとって、段取りを組み、限られた時間内に仕事を終わらせることが一番のやりがいにつながっています。オーダーが立て込んでも、どれだけ素早く、かつクオリティの高い料理を提供できるか。それが回転率にも直結し、最終的には売上にもつながる。忙しいほど燃えるタイプなので、営業をスムーズに回し切ったときの達成感は格別ですね。朝出勤したら、その日の業務をざっと把握し、どの順番でこなせば営業に間に合うかを考えます。軽い仕込みもあれば、時間のかかる仕込みもある。とくにグッドスプーンの看板商品であるブラータチーズを手作りすることは、大きな仕事の一つです。 平日は1日30~40個、土日には60~70個作らなければならず、仕込みには2~3時間かかることもあります。でも、1時間半で終わらせようと挑戦する。実際にそれをコミットできたときは、大きな達成感がありました。
──転機となった出来事があったら教えてください。コロナが日本に充満した時ですね。前の会社を辞めたあと、アルバイトは続けていましたが、コロナが広がり、飲食業全体が厳しい状況に追い込まれました。もしダイナックに入社を決めていなかったら、おそらく飲食の道を諦めていたかもしれません。仕事として成り立たなければ生活もできない。そんな現実を突きつけられた時期でした。
──コロナ禍で自宅待機が続く中、同期が次々と辞めていったとき、小野さんはどんな気持ちだったんですか?この仕事は職人の世界だと思っています。腕さえあれば食べていけるという自信もありましたし、小さい頃から憧れていた仕事だったので、辞めるつもりは一切なかった。コロナの影響は一時的なものだろうと、どこかで楽観的に捉えていた部分もあります。同期は38人ほどいましたが、僕は一度社会に出ている分、「絶対に負けない」という気持ちが強かった。技術でも精神面でも、一歩リードしているという自負がありました。 結局、料理を続ける理由は、「誰かに喜んでほしい」という思いがあるから。お客さまに喜んでもらえることが一番のやりがいであり、僕の場合そこに全フリしちゃっているので、この道を諦める選択肢はなかったんです。 負けず嫌いな性格なので、最近、同期が店長に昇格したと聞いたときは、先を越されたなって、正直めちゃめちゃ悔しかった。でも、5年目で副調理長まで上がってこられた今、調理長への道も見えてきたので、今後は自分の料理でアピールする機会を最大限に生かし、さらに上を目指していこうと心に決めています。 |
──ダイナックの好きなところは?会社全体の風通しが良く、働きやすい環境が整っているところ。そして、自分のアイデアを形にできる場があるところが好きです。風通しの良さについては、懇親会で社長をはじめ上層部の方々と直接話せる機会があること。新入社員研修では、和洋さまざまな業態の先輩たちから話を聞くことができたことも印象に残っています。 また、メニューの考案に関しても自由度が高く、オリジナリティを発揮しやすい環境です。今の店舗ではまだ挑戦できていませんが、以前いた渋谷の店舗では、イタリアンをベースにしつつ、スパニッシュの要素を取り入れたり、デザートでミルフィーユモンブランを考案したりと、自分なりの工夫を盛り込めました。作る側としても楽しめるし、お客さまにも喜んでもらえる。そうした自由度の高さが、ダイナックの魅力の一つだと感じています。 ──今後、挑戦したいことについて教えてください。洋食部門での最年少調理長を目指しています。料理の勉強は一生続くものだと思っていますが、それに加えて店舗全体の数字管理をしっかり学ぶことが今の課題です。調理長として成長するためには、料理の原価やコストコントロールを把握し、お店全体を運営できる力が必要だと感じています。 ちょうど今、僕がいる店舗に渋谷時代のチーフが異動してきました。彼は僕がもっとも尊敬する料理人で、腕前はもちろん、仕事への向き合い方が素晴らしいんです。料理は驚くほど丁寧で、しかも本当に美味しい。そして、人を巻き込みながらチームを動かしていく力がある。まさに理想の調理長です。 入社以来、「尊敬する人は?」と聞かれたら、ずっと彼の名前を挙げてきました。今、一緒に仕事ができるこの機会を最大限に生かし、学べることはすべて吸収して、調理長へのステップを確実に踏んでいきたいと思っています。 ![]() |
1日の流れ
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